お知らせ

5年市村秀俊さんの学会発表報告

第33回日本疫学会学術総会参加報告

名古屋大学医学部医学科5年
国際保健医療学・公衆衛生学所属
市村 秀俊

 2023年2月1日(水)から2月3日(金)まで、静岡県浜松市のアクトシティ浜松にて開催された第33回日本疫学会学術総会へ参加した。
 本大会のテーマは「総合知による健康・幸福の向上」であった。メインシンポジウムでは各学問領域における研究目的の違いから始まり、学問に対する社会的要請の変化、学際的研究計画の失敗事例などが語られた。本大会のテーマに掲げられた理想を達成するためには、STEMに限定しない多様な学問的背景を備えた医師・医学研究者・疫学研究者を育成し、"翻訳者"を増やすことが必須と考える。
 登録演題は生活習慣やCOVID-19に関連するテーマが比較的多いものの、口腔衛生や周産期医療、小児発達、サル痘など多岐に渡っており、社会が抱える多様な課題へアプローチが行われていた。また、腸内細菌叢解析やメタボローム解析のようなオミクス解析を含む発表も少なくない件数があり、疫学-分子生物学の接近と今後の発展が予感された。
 本大会では「2型糖尿病患者における代謝関連遺伝子のDNAメチル化解析:愛知職域コホート研究」のタイトルでポスターにより示説した。研究概要は標題そのままで、愛知県内の某職域労働者から得た全血DNAを対象に、代謝関連遺伝子のプロモーター領域におけるDNAのメチル化割合が、2型糖尿病罹患者群と健常者群の間で異なるかを検討した。複数の変数によるマッチング・調整を施した結果、いくつかの遺伝子のプロモーター領域において、DNAのメチル化割合が異なることが見出された。今後は研究を発展させ、2型糖尿病発症とDNAメチル化の因果関係解明や、診断・治療技術開発へつなげたい。
 本大会での発表は、愛知職域コホート研究に携わった全ての方のご協力、特に山田宏哉先生(藤田医科大学)による分子生物学的解析の支援、並びに指導教員である八谷寛先生(国際保健医療学・公衆衛生学)の懇切丁寧な指導なしには成し得ないものであった。また、本大会参加に当たり学生研究会より旅費・参加費等のご支援をいただいた。この場をお借りして、関係諸氏に深く御礼を申し上げる。