3月14~16日開催の日本生理学会第100回記念大会に参加し、ポスター発表を行いましたのでその報告をさせていただきます。
私は「高次視覚野感覚統合におけるミクログリアの寄与」という演題で発表しました。基礎医学セミナーで進めた研究で、大人の時期に視覚遮断を行った際の高次視覚野における神経活動の変化に着目し、先行研究ですでに明らかになっている先天的視覚喪失の場合と比較するという内容です。ポスター制作にあたり、基礎医学セミナー発表会でのスライドを用いた口頭発表とはまた違う難しさを感じました。どの情報をどれぐらいの詳しさでどのような順番で載せるのか試行錯誤し、ギリギリまで制作に時間を費やしました。結果、満足のいくポスターを完成させることはできましたが、代償として発表練習があまりできなかったので、次回は余裕を持って作りたいところです。当日の発表ではありがたいことに多くの方々が耳を傾けてくださいました。以前研究会でポスター発表を行った際と同じ質問や意見が多くあり、その点に関しては私自身も気になっているところなので今後検討していきます。また、今回学部生ポスター発表で優秀賞をいただくことができ、自分の研究が関心を惹くテーマであること、発表を通して内容がしっかり伝わったことに少し自信がつきました。今はまだ導入部分に当たる実験なので、一歩一歩核心に迫っていきたいです。
印象に残った講演は大阪大学微生物病研究所でのターコイズキリフィッシュという魚を用いた老化研究です。ターコイズキリフィッシュはアフリカの乾燥地帯に生息し、雨期に発生・成熟・産卵が進み、乾期には卵の状態で発生が止まって休眠するという面白い性質を持っています。中には雨期・乾期の数サイクルを超えて2年ほど休眠する場合もあるらしく、それでも正常に発生が進むそうです。その休眠システムのメカニズム解明により、人間の老化を遅らせられる可能性があるとのことでした。
生理学会では幅広い分野での発表・講演が繰り広げられていました。近年分野横断的な研究が行われるようになってきたとはいえ、本質的には研究では一つの分野のさらに一つの現象に関わる何かに着目せざるを得ないという感覚があります。学会では、普段のミクロな視点から数段階引いて科学全体を見通せるところが面白いと感じました。
日頃手厚く指導してくださり、このような貴重な発表の場に後押ししてくださった分子細胞学の皆様、学会参加にあたり支援してくださった学生研究会の皆様、心より感謝申し上げます。