春季休業期間に国立研究開発法人国立がん研究センター研究所および東京大学定量生命科学研究所に見学に行かせていただきました。分化や発生、細胞間ネットワークについて自分の所属研究室とは違ったアプローチで取り組んでいらっしゃる研究室にてお話を伺うことで、自分の現在の研究の方向性や自分の卒後の選択肢を考えるきっかけとすることが目的です。
国立がん研究センター研究所では、がん細胞システム研究ユニットにて、ヒトiPS細胞由来肝内胚葉、血管内皮細胞、間葉系細胞を一定の条件で共培養することにより自律的に細胞凝集を生じさせる技術を用いて、がん組織の人為的な再構成を行い、膵癌細胞―間質相互作用を調べる膵癌オルガノイド研究のお話を伺いました。シングルセル解析などの流行りの技術に加えて、材料側に工夫を施すことによってより多くの情報を引き出したいというお話が印象的でした。また、病院と隣あう研究機関にいて、臨床から生じたモチベーションに基づく研究は強いというお話も記憶に残りました。
東京大学定量生命科学研究所では、大規模生命情報解析研究分野にてお話を伺いました。遺伝子発現とクロマチンループ形成に重要な役割を果たすタンパク質複合体であるコヒーシンを中心に転写ネットワークの解析をされている研究室です。データセットや解析方法は次々と出てくるので、流行の解析技術を追う以前に自分のもっとも根幹にある研究モチベーションを確立させることで自分のオリジナリティを確立することができるというお話が印象的でした。研究を進める中で、どうやって自分の研究のインパクトを強めていくかについてもアドバイスいただきました。
どちらの研究室でも自分の研究分野に関するお話を聞いていただき、自分から発信する機会を増やすことで自分自身の理解が深まることを感じました。これからも、お話を伺ったり自分から発信したりする機会を増やすことで学びを深めていきたいと思います。
この度、見学を受け入れてくださった先生、サポートしてくださった学生研究会に感謝申し上げます。