この度、私はAACR annual meeting 2023に参加させて頂く機会を頂戴いたしました。まず、この機会を得るにつれ、お忙しい中時間を削り、我々学生のためにご尽力くださった腫瘍生物学の皆様方、特に近藤豊先生、鈴木美穂先生、新城恵子先生、学生研究会の黒田啓介先生、安倍小百合様には誠に感謝の思いで一杯です。本当にありがとうございました。先生方のご協力が無ければ間違いなくこの貴重な経験を頂く事はございませんでした。
今回の学会への参加は3年後期の基礎配属で頂いた最優秀賞をきっかけとしたものでした。3年後期の半年間はかなり大変なもので、目の前の実験や解析をこなすのに必死でしたがこのような素晴らしい形に結びついた今となっては本当に頑張ってよかったなと感じています。
5日間の学会を通じて感じたことを述べさせていただきます。まず、一言で言うなら・・・と思いましたが、到底一言では言い表せませんでした。とりあえず会場が広い、人の波、何千枚ものポスター、煌びやかな企業ブースの数々、、、衝撃でした。端から端まで歩いたら1キロくらいありそうな会場でコーヒー片手ににこやかに、そしてオープンに研究についてディスカッションする研究者の姿はまず日本では見られないでしょう。異世界に迷い込んだ人間のようにフラフラ(時差ボケと初日のマラソンの筋肉痛を添えて)と、最終日に控えた自分の発表に胃を痛ませながら多くの口頭発表、ポスター発表を見学しました。最も残念だったことは、私の英語力が全ての情報を拾うのには拙すぎたということです。しかし、中には進んだことをやっていると明らかに分かるものに出会い、とにかく自信満々に発表される方々に圧倒されました。3日目くらいになると、自分の小ささにわずかな絶望を覚えました。もはや自分はこの中でやっていけないのではないか、一体自分は何ができるのか、あまりの世界の広さにネガティブな気持ちを抱き始めたのです。先に済ませた仲間の発表が成功に終わるのを感じ、尊敬と鬱屈とした思いを交えながらとりあえず楽しもうと最終日の発表を迎えました。私は数多ものポスターの内の1枚を発表しました。発表と言っても興味のある人が来て質問に答え、全貌を説明するのです。つまり逆に言うと、誰も興味を持ってくれなかったら沈黙の2時間半を耐えなければいけません。一番恐れていたのはその事でした。初日に掲げていた5人くらい来たらいいなーという目標は気づけば1人来たらいいですよね、、、に変わり、ポスターを貼った時にはいや、これ半分くらい目標達成したなあと思っていました。緊張していたのかもしれません。しかし、蓋を開けてみれば興味を持ってくださる人が8人も来てくださり非常に面白そうに話を聞いてくださりました。その様子は、学会で多く見たコーヒー片手にディスカッションしていた研究者の姿そのものでした。私も次第に楽しくなってきて、高まった交感神経で口を渇かせながら必死に説明しました。「買えばそれっぽく見えますよ」と言う後輩の助言を踏まえ発表前に手に入れたLサイズのコーヒーも底をつき、発表が終わる頃には抱いていたわずかなネガティブな感情は自信と達成感に変わりました。
振り返ってみると、基礎配属の半年間を凝縮し、さらにレベルアップさせた経験をさせて頂いた気がします。名古屋大学の中で賞を取り正直満足していましたが、さらに広い世界を見てまだまだだな、と感じると共にそれでもなお頑張るぞ、と言うモチベーションが湧いています。学生のうちにこのような機会を頂いたことに感謝の思いを抱き続けながら、やってもまだ上があると思い続け、満足せず、世界を広げる側に少しでもなれたらと思います。
改めまして、引率してくださった近藤豊先生、鈴木美穂先生、新城恵子先生には多大なる感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。