お知らせ

4年平瀬楓さんのGAME-TEI summer school 参加報告

2023 GAME-TEI Summer Schoolに参加して

名古屋大学医学部医学科5年
平瀬 楓

7/10-7/14に韓国の高麗大学で開催された第5回GAME TEI Summer Schoolに参加させていただきました。
今年度のテーマは” Interprofessional Education for Planetary Health “で、Bologna University, CUHK, Korea University, LMU, Lund University, Monash University, Nagoya Universityの7大学から医学部、薬学部、看護学部の学生が参加しました。5日間は9つの講義と3つのグループワーク、3つのプレゼンテーションで構成されていました。講義内容はplanetary healthの重要性、気候変動による健康影響、サステナブルなシステムを組み込むためのアプローチ方法などがありました。異なるバックグラウンドを持つ講師の方々からの講義はとても興味深かったです。また休憩時間に何人かの先生方とお話をした際に、彼らは活動に対する情熱を強く持ち、そして学生に挑戦する勇気を与えるようなポジティブな声かけをたくさんしてくださったことが印象的でした。学生間のグループワークでは出身大学や専攻がランダムになるよう振り分けられた数人のグループで、与えられた課題について意見を出し合いました。参加した7大学それぞれの代表学生は、とてもmotivatedで知識や経験に富み、彼らとの交流はとても刺激的でした。彼らが皆とてもフレンドリーかつお互いを鼓舞するような前向きな姿勢を持っていたおかげで、臆すること無くオープンにディスカッションをすることができました。私含め日本人は話し合いで消極的になる傾向があるので、この雰囲気作りを自分もできるようになりたいと思いました。また、最終日のプレゼンは ”a simple feasible local solution to improve sustainability in your own healthcare settings” がテーマだったのですが、自分が思い付かないような創造性豊かなアイデアを各グループから聴くことができ、刺激的でした。

 プログラムには講義室の外に出て活動する機会も組み込まれていました。高麗大学は設備も非常に整っており、附属病院を見学した際にはその立派さに圧倒されました。印象に残っているのは、附属病院に多言語コーディネーターが常在するinternational medical centerがあったことです。ここでは翻訳サービスに加えて、患者のライフスタイルや文化、健康上の優先事項に配慮した医療の提供を促進しており、これからの時代に増えるであろう需要に対応できる先進的な設備だと感じました。また参加者は宿泊先も同じであったため、移動も含め常に一緒に行動しました。そのおかげで、たくさんの学生と交流することが叶いました。同じ分野で将来活躍する彼らから、文化や教育システム、人との関わり方、余暇の過ごし方、将来の展望などについて話すことができたのはとても良い経験でした。そしてたった1週間を共にしただけとは思えないほどに打ち解けることができました。同じ志をもった同世代の友人が世界中にできたことは人生の宝物になると私は確信しています。

 Planetary health やone health などは認知している人も多いと思います。しかし、日本でそれを他人事ではなく自身も関係あるものとして捉えている人はまだまだ少ないでしょう。GAMEに参加する前の私自身がそうでしたし、日本の同級生と話してもそのような印象を受けます。これは日本に限った話ではなく、参加した7大学の中で東アジア(日本、韓国、香港)からの参加者が共通して母国の意識が高くない傾向にあると話していました。対して特に進んでいたのはオーストラリアのMonash大学で、planetary healthに対する意識は国民全員がすでに持ち、義務教育でも高等教育でも学び考える機会が十分にあると生徒は述べていました。

 医療は清潔さが非常に重要であることに加え、大規模な施設や機器を要するため、廃棄物を出してエネルギーを大量に使ってしまうことは致し方ないことだと心の中で思っていました。今でさえ費用の嵩む事業であるのに、費用対効果が低い傾向にある環境に優しい施策など取れないと思っていました。しかし、今回の学びにより、このように受け身でいること、他人事として捉えることがいかに危険であるかを考えるに至りました。自分はこれからの未来をつくる一員です。その自分が、現状を変えないことの危険性を感じながらも「きっと不可能だから」という理由で何も変えようとしないのは無責任なことだと感じます。まだ解決策のある段階であるからこそ、介入しなければなりません。力がないために個人レベルや十数人のグループなどの小さな規模のことからしか始められませんが、それにも非常に大きな意味があるとGAMEは教えてくれました。

そして私が特に強調したいのは、この学びは日本に閉じこもっていては得られなかっただろうということです。外に出て、自分がマジョリティー側ではない環境に身を置くことで、現状に疑問を抱き、変化の必要性をこの身で感じます。GAME-TEI Summer Campで得られた学びと経験は私のパースペクティブに大きく影響を与えてくれました。今回このような機会をいただけたこと、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

名古屋大学のポスター発表
先生方との集合写真
高麗大学安岩病院の見学の様子
グループワークの準備中に撮影した写真