7/10(月)~7/14(金)の5日間GAME summer campに参加する機会をいただき、今年度のテーマinterprofessional education for planetary healthの学びを得るために高麗大学を訪問してまいりました。サマーキャンプでは、GAME参加大学の講師の先生方やそのほか専門家の先生の講義を受講し、口頭発表、ポスター形式でのグループ発表などを行いました。韓国の渡航前に、GGHH(Global Green and Healthy Hospitals)の掲げる10の目標について詳細に勉強し、現地での活動と同様のメンバーでzoomでの事前勉強会を行ったため、高麗大学では活発な議論や発表が行われました。今後私は名古屋大学から参加した他の4人の学生とともに、今回のサマーキャンプでの学びを活かすため、名古屋大学の学生として何ができるかを考えそれを実行に移す所存です。7大学の医学・看護・薬学を専攻する学生とともに学んだこの5日間は私にとって圧倒的で、得られた知見は多岐に渡りますが、特に印象深かった事柄について以下に記載させていただきます。
ポスター発表について
それぞれの大学で1枚のポスターを渡航前に作成し、現地で1日目に発表を行いました。ポスターのテーマは、持続可能なヘルスケアのため各大学病院あるいは大学の行っている取り組みについてでした。ポスター作成の際、名大病院の省エネルギーな空調管理や、名古屋大学が節電・省エネのためのスローガンコンテストを行っていることなどを初めて知ることができました。現地では他の大学の学生のポスター発表によって各国の病院や大学の現場の実際の状況を知ることができ興味深かったです。
複数の講義について
システムシンキングアプローチについて講義を受けた際、印象に残ったエピソードがありました。名古屋大学の学生が、経済的理由で必要な治療を受けられない患者がいた場合、その事実をどのようにしたら聞き出せるのかと質問しました。そのときに、欧米の「罪の文化」と違って、「恥の文化」である日本なら、お金がないということは恥ではないと伝えて聞き出すのがよいだろうという議論がありました。そこで、医師の診察アプローチも文化的背景によって規定され、当然海外で診察を行う際には日本でのやり方とは異なってくるのだと感じました。人を診るためには、医学的知識だけでなく文化的な理解が必要だということの例だと思いました。Advocacyについての講義の際には、提言を行う際のフレームワークが登場し、エビデンスを集めて協力者と反対者をみきわめ、最終的にどのような評価指標を使うかまで8つのステップを踏んでいくことで効果的な提言ができると学びました。コッターの変革の8段階プロセスなるものが登場し、モナシュ大学の一人の学生だけが知っていると手を挙げていたのは印象的でした。日本でもよく耳にする SDGs17 の目標だけでなく環境問題を議論するための基本的なフレームワークを講義で複数学び、その観点を用いることで生産的なグループワークを行うことができました。
最終日のグループ発表について
最終日は、それぞれの医療現場で持続可能性を向上させるためのシンプルで実現可能なローカルソリューションを提案するというテーマでグループごとに発表を行いました。発表の準備は2日目の午後から始まっており、発表当日はすべてのグループの洗練された発表を聞くことができました。私のグループは6人でしたが、積極的で英語が堪能なモナシュ大学の学生が主導権を握りました。複数日にわたる準備の間中、ひっきりなしの議論が行われました。英語のスピードに圧倒されて思考が追いつかずもどかしい思いをする場面があり、これは私にとって、英語を勉強することへの強力なモチベーションとなりました。また、日本で行われている持続可能な医療を提供するための取り組みや日本の今後の課題について私は彼らに情報を提供しましたが、私が日本に住んで当たり前だと思っていることでも海外から見るとそうではないことがあるはずで、自国の状況について海外の人に話すために相対的な視点が不可欠であると感じました。今後の私の目標は、母国語として英語を話す仲間と対等な貢献度で仕事ができるように、英語を学ぶことと、自国の医療について相対的な観点から理解することです。
さて、滞在中私は英語を話すことに負担を感じていましたが、これまで真摯に取り組んでいる剣道について話す時にはいきいきと話すことができ、結局英語でよく把握していない事柄を話すことはできないためリアリティを持った生き方をしようと心に誓いました。今回学んだ環境問題と医療をめぐる事柄についても学習を続け、自国のことや自分のこととして認識して取り組む所存です。
今回の留学に関してご支援いただいた名古屋大学の先生方、学生研究会の皆様、また日頃よりご指導いただいているイッツェル先生に深く感謝申し上げ、結びといたします。