お知らせ

5年寺西正樹さんの学会発表報告

Targeting mitochondoria 2023 参加報告書

名古屋大学医学部医学科5年
神経遺伝情報学所属
寺西 正樹

このたび、2023年10月11日から3日間、ドイツ・ベルリンにて開催されたTarget mitochondriaに参加し、ポスター発表を行いました。私は1年次よりコロナ禍などによる中断を挟みながらも研究活動を続けてきており、今回の学会参加ではこれまで自分が行ってきた研究の世界での立ち位置を確認し、また、多くの学びを得ることができ、自身の研究生活の中でも忘れられない出来事となりました。

≪学会に参加して≫
Targeting mitochondriaはミトコンドリアをターゲットとした主に創薬などを行っている世界中の研究者が一堂に会する学会です。3日間の会期で、初日はworkshop、残りの2日間は口頭発表とポスターセッションとなっていました。
初日のworkshopではミトコンドリア関連の代謝・活性・タンパク発現などの解析について網羅的なセッションがあり、既に自分が行っている実験手技の確認のみならず、これまで気が付いていなかった実験上の注意点や考え方を学ぶことができました。
2日目以降のセッションでは、ポスター発表を行いました。私の発表の際には、論文化するときにレビューが回ってくるだろうからプレゼンをしてほしいと分野の近い研究をされている先生や、実験手法で行き詰っているので参考にしたいと、私がラボで立ち上げた実験手法を記録していかれる方など予想以上に多くの方に来て頂き、議論したり、今後新たに必要になるであろう実験についてアドバイスを頂いたりすることができ、研究が洗練されていく過程を実際に経験することができました。
他の方の発表の中では、ミトコンドリア病の治療法としてのミトコンドリア移植療法の開発をはじめとする治療法の開発関連の研究や、宇宙飛行時における宇宙飛行士やマウスでのミトコンドリア活性や遺伝子発現の変化等についての発表があり、また、それに対する各分野の先生方の議論も一つの研究成果に固執するのではなく、分野を発展させていく方向性について行っているものが多く、興味深く、楽しむことができました。発表以外には、他の参加者に知り合いがいないながらも、Speaker’s dinnerに参加し、お互いの研究内容や、研究環境、国の文化などについて話すことができました。また、日本から参加されていた博士課程の学生の中には、目当ての先生がいる国際学会に複数回参加して、ポスドク以降の配属先の候補の先生にアプローチをかけている方や、演者の先生に事前に連絡を取って学会のついでにラボ見学している方がおり、自分から積極的に人間関係を構築していくことの重要性を痛感しました。

≪学会以外で感じたことなど≫
学会の開催地のドイツでは、航空券の関係で学会の2日前に入国し、時差に体を慣らしていました。その間にベルリン以外に、ハンブルクとケルンを訪問し、ドイツ最大の港町として昔から繁栄してきた様子や、歴史が詰まった大聖堂の荘厳な雰囲気を感じることができました。ちょうど私が日本を発つ前日に、イスラエルが攻撃を受けたこともあり、街にはイスラエルの国旗が多く掲揚されていたり、最終日の終了後に鑑賞に行ったベルリンフィルのコンサートでは演奏前に会場全体で黙祷をささげたりと、広いようでもお互いに繋がっている世界の狭さを感じることがありました。滞在中、近隣国でテロが起きたり、デモの取り締まりがあったり、領事館から注意喚起のメールを受け取るなどやや肝を冷やすこともありましたが無事に帰国することができ、良かったと思っております。

ポスター掲載時の様子。 多くの方に興味を持っていただき、貴重な経験をすることができました。
学会会場(左から2番目の建物)付近の様子。ベルリン中央駅(中央~右)が側にあり、また、川沿いは朝の学会前の散策に丁度良い場所でした。

≪これから学会に行く方へ≫
これから学生研究会の助成を使って海外学会に行く予定がある方々に自身の反省点も含めていくつかアドバイスを残しておきます。何か役に立てば幸いです。
・学会に行く可能性が出た時点で早めに学生研究会へ相談に行きましょう。宿泊や往復の航空券の確保、授業の欠席の際の必要書類が多くあります。また、航空券は早めに購入すると選択肢が多く、比較的安く入手することができます。今回は3か月前に航空券を確保して、辛うじて助成金の範囲内に収めることができました。
・入国審査で提示を要求されるので、自分の名前の入った学会の参加認証メールなどを印刷しておくとよいです。
・研究分野が近い先生を抄録から見つけて、事前に色々と知った上で会場でお話したり、アポを取って研究室見学ができたりしたらより実りある過ごし方ができたと思います。また、初めて会った研究者の方と話すネタをいくつか用意しておくとよいと思います。研究環境など、聞くことをあらかじめまとめておくとよりスムーズなコミュニケーションが取れるかもしれません。
・学会中、貼ったままになっているポスターは自分がいないときに勝手に写真を撮って行かれることも少なくないので、competitionを気にするデータがあるような方は十分に注意を払ったほうが良いと思いました。勝手に写真を撮っている人を見つけたら、折角ですので笑顔で声掛けしてプレゼンをすると興味を持って聞いて頂けます。口頭発表のスライドも同様です。

最後に、今回の学会の参加にあたり、初めての国際学会で抄録の書き方など、英語では初めてで、勝手がわからず、大野先生をはじめとする研究室の先生方や、自身が低学年の頃にお世話になっていた先輩方に大変お世話になりました。また、学生研究会の黒田先生、安部様にも旅費の援助をなど様々な手続きを行って頂きました。この場をお借りして感謝申し上げます。

ハンブルク市庁舎。イスラエルの国旗が掲げられていました。
ケルンの夜景。大聖堂は駅前すぐにあります。
ベルリンフィルの演奏会。
ブランデンブルク門。夕方の学会の終了後に散策できる場所にありました。