お知らせ

4年國島志穂さんの学会発表報告

Neuroscience 2023に参加して

名古屋大学医学部医学科4年
分子細胞学所属
國島 志穂

 2023年11月11日から15日にかけてアメリカ合衆国・ワシントンD.C.で開催されたSfN (SOCIETY for NEUROSCIENCE)主催のNeuroscience 2023に参加しました。私は以前から続けているオリゴデンドロサイトと認知機能の研究についてポスター発表を行いました。

 Neuroscienceは神経科学を中心とする研究者が世界中から集まる大規模な学会です。5日間の会期中には毎日ポスター発表やシンポジウムが開催されていました。
私は初日にポスター発表を行いました。今回が初めての海外での学会発表で、英語で発表を行う経験も少なかったので内容が正しく伝わるのか、質疑応答ができるのかとても不安でした。最初は通りかかった方のうち数人が立ち寄ってくださる程度でしたが、その方々が私の発表を聞いて質問やコメントをしてくださったことで会話が弾み段々と楽しくなって海外の方にも伝わった!と最初より大きな声で話せるようになりました。すると多くの方が次々と聞きに来てくださり発表予定だった1時間を超えてポスター掲載時間の最後まで質問をいただくことができました。今回の発表では日本の学会よりも同じ分野の研究をする方やはっきりと意見をくださる方が多く確かな自信がついたと同時に自分の課題も明確になりました。まず自信がついたのは抵抗があった英語発表を本番は見守ってくださった先生方に助け舟を求めることなく自分の言葉で伝えきったことです。もちろん十分な英語ではなく満足はしていませんが、ありがたいことに私の不慣れな英語にも身を乗り出して最後まで聞き、ディスカッションをしてくださった方がいたことは私の殻をひとつもふたつも破ってくれました。私が学部生と知り「大学院はうちに来ないか?」とジョークをもらえたこともとてもありがたかったです。課題は挙げたらきりがありませんが必要なデータ量を揃えることと、実験の目的と方法をしっかり考え直すともっと良いものになると多くのアドバイスをいただきさらなるモチベーションにつながりました。
自分の発表が終わってからは他の方のポスター発表を聞きました。会期の後半になると自分から質問をしに行けるようになりアルツハイマー病モデルを使う私の実験の一部を他疾患で行ったデータはとても興味深かったです。
 Neuroscienceでは研究以外でも多くの発見がありました。1番驚いたのは学会がシステム化されていたことです。今回の宿泊先は学会を通して手配できホテルから会場までシャトルバスが運行していました。とても便利な学会のスマートフォンアプリもあり、数ある演題の検索のみならずバスのルートや会場の地図など私のように海外から来た人も困ることなく過ごせる情報もまとまっていました。警備やクロークなども多くのスタッフが動員されており大規模な学会が混乱なく開催される工夫を見つけた気がしました。さらに参加証に私だったらshe/herなど呼称を示すシールが選べるようになっており多様性への配慮も感じました。企業ブースでは日本では見ないほど豪華なグッズが配布されていたり企業のキャラクターが一緒に写真を撮ってくれたりと楽しみつつ海外のノリに多少圧倒されながら研究機器の開発に触れることができました。

学会会場はとても広く規模の大きさに驚きました。
ポスター発表では緊張しましたが多くの方に聞いていただきました。
企業ブースで配っていたマウスの脳の形のグミ、パイナップル味で意外と美味しかった、、、

 今回の渡航は私にとって初めてのアメリカということもあり学会以外でも本当に多くの出会いと学びがありました。
学会後には先生方と食事や観光に行きD.C.で研究経験がある教授に様々なお話を伺ったり、別の日に先生のお知り合いとご一緒したりと海外のレストランを楽しみつつ多くの刺激を受けました。
首都であるワシントンD.C.には会場から歩いて行ける距離に政府機関やスミソニアン博物館が集約されており、時間があればとにかく街を歩いて多くの文化に触れてきました。博物館や美術館で見てみたかったアポロ11号やモネの作品が間近で見れたり、キング牧師のスピーチが行われたリンカーン記念館に散歩してみたり、街中にあるレンタル電動キックボードで学会会場に行ってみたりとD.C.ならではの経験ができました。さらにブラスバンドの練習をしている人が気になって話しかけてみたら祝日に合わせたパレードがあることを教えていただいたり建築物目的で見に行ったジョージタウン大学でキャンペーンをしていた学生からカーネーションをもらったりと嬉しい人とのつながりもありました。歩いていたら道を聞かれたことや度々子供に間違われたことなどのプチハプニングもありましたがどれもいい思い出です。

 最後になりましたが今回の学会参加にあたり分子細胞学の先生方には大変お世話になりました。研究や発表のご指導に加え、慣れない海外渡航中のサポートや旅費の援助もしていただき深く感謝いたします。また学生研究会にも旅費の援助、手続き等お世話になりました。この場を借りて感謝申し上げます。

この日は2万歩以上歩いてアメリカの歴史や文化に触れました。
ジョージタウン大学は絵画のような建物でした。