お知らせ

2年羽場ほの香さんの東京大学短期研究研修報告

短期研究研修レポート

医学部医学科2年
分子生物学所属
羽場 ほの香

 私は2月27日から3月14日までの17日間、東京大学医学部医学系研究科の神経細胞生物学教室にて短期研修をさせていただきました。
こちらの研究室では、シナプスを介した情報のやり取りを研究しています。シナプスの働きを可視化するイメージングという手法を学ぶことを目的として、マウスでのイメージング実験を一通り研修することができました。
 まずイメージングをする場所は大脳皮質であり、そのままでは観察できないのでGCaMPと呼ばれるカルシウムイオンの濃度で蛍光を発する物質を発現させ、窓を取り付ける手術をしました。この手術は大学院生でも習得に数ヶ月かかるのが普通と言われるくらい難易度が高く、失敗しながらも先生の指導のもとで観察できる状態にすることができるようになりました。
次に、二光子顕微鏡下で、覚醒したマウスの観察とイメージングを行いました。二光子顕微鏡は扱いが難しく、使いかたを丁寧に教えていただきました。自分で手術をしたマウスは、途中で窓がとれてしまい、最後までイメージングをすることには失敗してしまいましたが、表層側の神経細胞を見ることはできました。
 最後に、とれたイメージングデータで解析を行いました。MATlABを操作するのは初めてで、解析自体にも慣れていなかったので、調べながら進めました。データの体動のぶれを修正したり、輝度変化をしている部分の設定をしたり、それぞれの輝度の変化を調べたりして、カルシウムトレースを導くことに成功しました。今回は刺激を与えず自発的な活動のみを観察しましたが、確かに活動に応じてカルシウムトレースが上がっている部分を見出すことができました。
 イメージング実験のほかに、こちらの研究室で普段から行っている論文セミナーの一環として論文の紹介もさせていただきました。論文はフェレットの抑制性ニューロンの発達に関するもので、視覚経験と神経の発達をイメージングで調べたものでした。自分が実際に行っていた実験と本質は同じで、より理解を深めることができました。また、研究者の方々の前で発表を行い、たくさんの質問をいただきながら論文発表の仕方を学ぶことができました。
 最後に、研修を引き受けてくださった岡部教授、指導してくださった丸岡先生、手続きを進めてくださった栗川先生、菅谷先生、学生研究会の先生がたに、このような有意義な経験をさせていただいたことに対する感謝を申し上げたいと思います。