この度私は4月5日から10日までの6日間サンディエゴで開催されたAACR (American Association for Cancer Research) annual meeting 2024に参加してきました。今回が初めての学会参加であり、緊張と期待に胸を膨らませて会場に臨みました。想像以上の規模と充実した内容に驚き、刺激を受けた経験を報告いたします。
AACRは毎年2万〜3万人が参加するアメリカ最大のがん学会で、講演者はアメリカ国内外の学生からノーベル賞受賞者まで様々です。会場は非常に広大であり、また近隣のホテルの宿泊者のほとんどがAACRの参加者であり、地域全体までその活気ある雰囲気が波及していました。 私は最終日にPoster session での発表があったためそれまでは様々なSession を拝聴してまわりました。中でも印象に残ったSessionはPlenary sessionとStudent sessionです。
Plenary sessionでは、世界的に有名な研究者が最先端のがん研究の進歩や重要な発見に焦点を当てたプレゼンテーションを行われていました。3Dの見たことのない画像データや、single cell Transcriptome 解析などバリエーション様々で驚きましたが、発表は非常にわかりやすく、世界トップの研究者の凄さを感じました。Student sessionでは、学部学生により行われるPoster sessionで世界中の学生たちが自身の研究について意見交換を行っていました。またランチブレイクでは五人一つの円卓を囲み、フランクな会話をして、その後Panelist たちからアメリカで研究する意義やアプライに向けた準備などが述べられ、非常に有意義なSessionでした。彼らの活躍に刺激を受け、負けてられないと心に火がつきました。
最終日の私の発表では3年後期に研究した膵臓がん微小環境におけるがん関連線維芽細胞のSingle cell 解析について発表しました。文字通り1万近くあるPoster の中で英語のできないアジア人の一学生のPosterにそもそも人が来るのか、しっかり発表できるのか、不安で押しつぶされそうになり、前日は夜中3時まで練習しました。いざ始まってみると、がん関連線維芽細胞はがん研究の中でもホットトピックで、Single cell 解析は近年飛躍的に進んでいて注目度が高い研究だったことからか、ひっきりなしに研究者の方たちが来てくださいました。最終的に10人近く方がいらして去り際にはみなさん決まって”Nice work!”と言ってくださりました。人種も出身も飛び越えてがん研究について意見交換ができ、世界は一つだと実感しました。
私はこの経験を通じて、自信を持って発表することの重要性を実感しました。特に欧米出身の研究者や学生は、自身の発表に誇りと自信が満ち溢れていて説得力が凄まじいです。私は英語があまり得意ではないので、聞き取れているのは半分程度でも、彼らの姿勢に圧倒されて納得していました。また自信を持って発表することで、他の研究者からの質問やフィードバックにも積極的に応じており、より研究の質を高めることができるのだろうと感じました。 この舞台で未熟ながらも発表できたことで一つの大きな糧となりました。彼らを超えていけるように、そして医療の発展に捧げられるように、努力していきたいと思います。
最後に事前準備から学会期間中までご尽力くださいました、学生研究会の黒田先生、安部小百合様、腫瘍生物学の近藤豊先生、新城恵子先生、西村先生をはじめ皆様に感謝申し上げます。いつも準備がギリギリな私たちを見守ってくださり本当にありがとうございました。これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。