2024年9月19日から21日にかけて福岡で開催された、第83回日本癌学会学術総会に参加しました。私は昨年の夏から基礎配属で腫瘍生物学の研究室に所属しており、約1年間の研究の成果を「Novel strategy to cure cancer through inhibition of long non-coding RNA」という演題名でポスター発表をしました。
初めての学会参加かつポスター発表だったので、どんな雰囲気なのだろうか、4分という短い時間で自分の研究内容を聞いてくださる方々に的確にお伝えすることができるだろうか、他の研究者の発表は理解できるのだろうか、などさまざまな不安を抱えながら福岡に向かいましたが、終わってみるとあっという間の3日間だったと感じています。
まず1日目には、自分のポスター発表がありました。学会のポスターセッションは同じような分野ごとに分けられており、聞いてくださる方々も自分の研究対象に詳しい方や特に興味を持っている方が多かったように感じました。それゆえ、鋭い質問をしていただいたり、今後の実験についてアドバイスをいただいたりして、自分の未熟さを痛感するともにこれからもより一層頑張っていきたいと前向きな気持ちになりました。
2日目の夜には、若手研究者の交流会に参加しました。この会には全国から大学院生をはじめとする若手の研究者が50名ほど集まり、食事をしながら自身の研究内容やこれまでのキャリアについて紹介し、ディスカッションをしました。といっても決して堅い雰囲気ではなく、癌研究界を引っ張っておられる先生方が場を盛り上げてくださり、思い出に残る楽しい時間でした。「学部生のうちから研究なんて凄いね」とたくさんの方に褒めていただいたことは、研究が盛んな名古屋大学の私にとっては少し違和感を覚えましたが、さまざまな研究者、先生方のキャリアや研究に対する熱い思いを知ることができてよかったです。
3日目には、がんサバイバーやがん患者を支える方々のお話を伺う機会がありました。「がん患者にとって医師はどんな存在であってほしいか」と質問させていただいたところ、一緒に病気や生活について考えてくれる、伴走者のような存在という答えが返ってきて、患者さんに接する際に忘れてはいけないことだと思いました。また、熱心にがんについて研究してくれているその存在だけで嬉しいとおっしゃった方もいて、それは思いもしなかったことで驚き、私の方が少し嬉しくなりました。
学会を通してがん研究に関してたくさん勉強できただけでなく、自分の将来について考えたり、患者さんの思いを聞くことができました。試験勉強と研究の両立は簡単ではないと日々感じていますが、来年のAACR(American Association for Cancer Research) annual meetingに向けて今回の経験を活かしつつこれからも頑張ります。
最後に、日々支えてくださる腫瘍生物学の先生方、スタッフの皆様、学生研究会の皆様に感謝申し上げます。また、今回の学会発表に際して、中京長寿医療研究推進財団様にご支援いただきましたことを深く感謝申し上げます。