お知らせ

4年隠岐興一さんの高麗大学校国際医学生研究カンファレンス参加報告

7th KU International Medical Student Research Conferenceに参加して

名古屋大学医学部医学科4年
システム生物学所属
隠岐 興一

この度韓国高麗大学にて開催された7th KU International Medical Student Research Conferenceに参加致しましたので、その報告をさせて頂きます。
KU conferenceは首都ソウルに位置する高麗大学が主催となって、世界各国から医学部の学生が招集され2日間に渡って研究発表会を行うというイベントになります。
昨年度のこの時期の韓国は歴史的な寒波により飛行機が欠航するかもしれないという危機だったと伺いましたが、今年は幸いそのような事態は免れました。日本と比較すると寒さは際立つものの、比較的過ごしやすい天候の中で4日間を過ごすことができました。
前日入りの夜ホテルに到着すると、私と同じ研究室の1人は同じ部屋でしたが、もう1人は別の部屋で全く知らない外国の学生と相部屋になっていたため、次回参加する学生はそうした可能性があることを承知しておくと良いと思いました。
翌朝、会場の最寄りは地下鉄の安岩(アナム)駅という所で、近くに大学入口があり、そこから中の施設までは急な登り坂になっていました。長いエスカレーターを登った先に付属の大学病院が構えていました。会場はそこから少し回りこんだ所にある新しい建物の最上階でした。
会場で受付した際に、いくつかのお土産品(KUノート、KUぬいぐるみ衣装違い2種、KUタンブラー)と共に抄録集が与えられました。この時点で私は事前情報をほとんど得ておらず、勝手な勘違いをしていたことに気がつきました。KUからメールで送信されてきた口頭発表者の一覧には海外組の名前のみが記載されており、その10名程度のみが口頭発表を行い、賞を競うのだと思っていました。しかし実際の発表組数はKUの学生を含めて38組であり、ポスターも含めて72組が参加するという、予想よりはるかに大規模なイベントとなりました。
韓国の学生たちの発表を聞いた第一印象として、平均的な英語のレベルの高さに驚きました。発音がネイティブライクなだけでなく、質疑応答でも流暢なやりとりが繰り広げられていて、発表準備を付け焼き刃な状態で臨んだ私は率直に引け目を感じてしまいました。また、研究内容については基礎よりも臨床、特に付属の大学病院で得られた実臨床データを用いた研究が多かったです。中にはハイインパクトジャーナルに投稿された内容を発表していた学生もおり、研究活動が非常に活発であることを感じました。後からKUの学生より伺った内容として、研修医のストライキの影響で病院の実習等がストップしていることは、こうした課外活動が促進されている一つの原因ではないかと思いましたが、それを差し引いても大学全体を挙げて医学研究に注力している印象は強く、刺激を受けました。
私は1日目の午前中に発表がスケジュールされており、上記のように感じたギャップから発表することがプレッシャーとなって間もないタイミングでした。研究内容も基礎的かつ数理系寄りであるため、十分に伝わりづらく評価されにくいのではないかと感じました。さらに準備していた原稿に途中で不備があったこともあり、満身創痍のような状態で発表を終えました。但し悪いことばかりではなく、その後昼食会場に向かう中でKUの先生が研究内容について質問のため話しかけて下さいました。また、ポスター発表で知り合った学生とウェルカムディナーを共にして仲良くなり、施設を見学させてもらうなど、充実した時間を過ごすことができました。
2日目も1日目と同様のスケジュールで進みました。最後のアワードの発表では、発表直前の司会の煽りに合わせて学生たちが両手でドラム代わりに机を叩いていて、面白い文化だなと思いました。その中で、思いがけず私も口頭発表3rd placeの賞を受賞させて頂きました。

終了後は近くのお店でチキン・ビールパーティーという名前の懇親会が開催されました。そこでもさらに現地の学生たちと交流する時間を持つことができ、学生生活の違いや若者文化、自身の進路について語り合ったり、韓国で流行っている飲み会のゲームを一緒にやったりする時間を通して親睦を深めました。また、学生たちの中には日本語勉強しているよという人も数名いました。
今回のカンファレンス参加を通して、他学生の研究発表を聞きながら私自身の研究を推し進めていくモチベーションが得られたと同時に、グローバルな視点から今の自分に不足しているものを理解させられ、今後の励みになりました。
最後に、こうした貴重な経験をさせていただく上で、共に日本から出発し時間を過ごした4名の参加者の方々、現地のサポートをして頂きました高麗大学スタッフの皆様、日本からご支援頂いた名古屋大学学生研究会、国際連携室スタッフの皆様、普段から研究についてご指導頂いているシステム生物学研究室スタッフの皆様に心から感謝申し上げます。そして、今回の参加に際し中京長寿医療研究推進財団様にご支援いただきましたことをここに深く感謝いたします。