2025年4月17日〜19日に仙台国際センターで開催されました、第114回日本病理学会総会に参加しましたので報告させていただきます。
前回の病理学会は名古屋開催でした。ふらっと覗きに行ったところ、多くの発表者が生き生きと話をしていました。その姿を見て次回は発表できるようにしたい!と思っていたので、今回無事発表までたどり着けてうれしいです。
「消化管の高度異型腺腫・高分化型腺癌における線維化および線維芽細胞の性質の検証」という演題でポスター発表を行いました。主に胃癌の線維芽細胞に着目してその性質を探っています。4年生の冬から取り組んでいるもので、今までの内容をまとめる良い機会となりました。ヒト検体を扱う中でうまくいかない点に直面しているところではありますが、残りの学生生活でできる限り進めたいと思っています。
進路として病理医を考えており、現在の病理の空気感を掴みたいという目論見もありました。基礎研究から臨床現場まで、病理に関して幅広い内容が話されていました。
近年AIが発達する中で病理医の存在はどうなっていくのかと議論になることがありますが、むしろAIと共存していこう、使いこなしていこうとする空気感が印象的でした。病理部で実習をする中でリンパ節転移の診断はAI診断を割と適応しやすいのでは?と感じていたところ、ちょうどテーマとして研究されている方がいらっしゃいました。基本的には高精度で診断できますが、壊死の多い部位など特定の状況下ではまだうまく診断できないようでした。その他にもすでに実用化されている診断補助アプリであったり、特別な設備がなくても普通のパソコンで使える解析方法の提案であったり、多様な発表がされていました。立ち見も出るぐらいにAIセッションが盛況で、多くの方々が興味を持っていることが伝わってきました。
他大学では診断を全てバーチャルスライドで行っているところもありました。いつかはできるようになるだろうとは思っていましたが、その「いつか」はもはや「今」の話でした。研究や教育との親和性が高いようで、導入後1年のアンケートでは「このままバーチャルスライドでの診断を続けたい」と回答する病理医の先生方が多数でした。一方で、セッション中にフロアからは「顕微鏡を除くことでしか引っかけてこられないような情報がある中で、バーチャルスライド中心に育つ病理医が出てくることには懸念がある。」とのコメントが出ていました。
夜には研究室の先生方、大学院生の方々と食事に行く機会をいただき、仙台ならではの食べ物を堪能しながらいろいろなお話を伺うことができました。
今回の学会テーマ“Opening new doors in pathology”が表しているように、解析技術の発展、AIの発展を背景として、従来病理学が得意としてきた形態学と組み合わさりながら新しい時代に突入している印象を受けました。私も将来的に何らかの形で貢献していけたらと思います。
非常に充実した3日間となり大きな刺激を受けました。いつもご指導いただき、このような貴重な機会をくださった腫瘍病理学の先生方、旅費のご支援をいただきました学生研究会の皆様に心より感謝申し上げます。