お知らせ

6年浅井日沙さんの学会発表報告

第61回日本小児循環器学会学術集会に参加して

名古屋大学医学部医学科6年
小児循環器センター 心臓外科所属
浅井 日沙

2025年7月10日~12日に開催された第61回日本小児循環器学会学術集会に参加し、1日目に「VSD術後に家族性地中海熱の発症が疑われた1例」という演題でポスター発表を行いました。本症例は稀な病態であり、発表準備の段階から国内外の文献を幅広く収集し、外科的・内科的両面から検討を重ねました。特に、既報の症例や治療経過と自症例のカルテ記録・検査結果を照合しながら考察を深める過程は、自分にとって非常に興味深く、症例ととことん向き合うことの大切さを実感しました。

本学会は小児循環器領域における外科・内科合同の学会であり、多様な専門分野の先生方から様々な視点での質問をいただきましたが、準備段階で多くの文献情報を整理していたことで、自信をもって回答することができました。また、発表終了後には同じセッションで発表された先生方とディスカッションする機会があり、臨床現場での具体的な診療の流れや、類似症例の対応について伺うことができました。こうした交流を通じて、現場ならではの思考過程や判断基準を知ることができ、大きな刺激を受けました。

また、学会中には、今年3月に参加した小児心臓外科ウインターセミナーでお世話になった先生方とも再会し、進路や臨床経験に関する話を伺うことができました。さらに、学会初日の夜には、愛知県の小児循環器に関わる先生方との懇親会が開催されました。小児心臓外科を志す学生として、温かい励ましのお言葉や今後の研修に関する具体的なアドバイスをいただくことができました。医師としてのキャリアの築き方や研修病院の選び方、海外での経験の重要性など、多方面からの視点を伺うことができ、今後の進路選択を考える上で大きな財産となりました。こうした経験を通じて、学会という場が単なる知識発表の場にとどまらず、人的ネットワークを築き、将来のキャリア形成に直結する場であることを改めて実感しました。

学生としては、日々の学びはまず国家試験対策や基礎知識の習得が中心となりますが、今回の発表準備と学会参加を通じて、将来臨床現場に立ったときに重要となる思考のプロセスや情報収集・分析の姿勢を学ぶことができました。今後はこの経験を生かし、卒後研修においても一症例ごとに深く向き合えるよう努めていきたいと思います。

最後に、本発表の機会をいただき、ご指導いただきました六鹿教授、櫻井教授をはじめ、名古屋大学小児循環器センターの先生方に深く感謝申し上げます。また、学会参加に際して多大なご支援をいただきました学生研究会の皆様に厚く御礼申し上げます。