お知らせ

4年松尾日菜子さんの高麗大学校国際医学生研究カンファレンス参加報告

8th KU International Medical Student Research Conferenceに参加して

名古屋大学医学部医学科4年
糖尿病・内分泌内科学、細胞生物学 所属
松尾 日菜子

2025年12月19日から20日に韓国の高麗大学にて行われた、8th KU International Medical Student Research Conferenceに参加させていただきましたので、ここに報告いたします。

本カンファレンスには、高麗大学をはじめとする韓国国内の大学に加え、日本、香港、米国、欧州、オーストラリアなど、さまざまな国と地域から研究に取り組む医学生が参加しました。発表者全員が学生である学会であったため、通常の学会と比べて立場の差を強く意識することなく、終始和やかで活発な雰囲気の中で発表および議論が行われていた点が特徴的でした。

学術発表に加え、参加学生同士の交流を目的としたプログラムも数多く用意されていました。初日には高麗大学のキャンパスツアーが行われ、学内のさまざまな施設を見学しました。特に図書館では、明るい色の内装や集中しやすい個室スペースの配置、さらには室内の香りにまで配慮するなど、学生が勉学に専念できる環境づくりへの強いこだわりを感じました。また、初日の夜は高麗大学構内にて、2日目の夜は韓国の居酒屋にて交流会が開催されました。趣味、アイデンティティ、各国の飲酒文化など話題は多岐にわたり、大いに盛り上がりました。これらの交流を通じて、参加者同士が打ち解け、国外にも同じ研究志向を持つ学生のネットワークを形成できたことは、心に残る、率直にとてもうれしい出来事でした。

本カンファレンスにおいて、私は糖尿病・内分泌内科学分野で現在取り組んでいる、下垂体機能不全に対するオルガノイドを用いた再生医療的アプローチについて、ポスター発表を行いました。英語でのポスター発表は初めての経験であり、とても緊張しました。ポスター発表では聴衆との距離が近いため、相手の反応や関心に応じて説明の内容や深さを変える必要があり、この点は口頭発表とは異なる難しさであると同時に、楽しさでもあると感じました。一方で、アカデミックな内容を英語で即興的に分かりやすく伝えることは、日常英会話とは異なる難しさがあり、苦労する場面も多くありました。韓国の学生を含めた他の参加者の英語運用能力は非常に高く、自身の未熟さを痛感しましたが、拙い英語表現であっても、身振り手振りや、何より熱意をもって説明することで、自分の意図を伝えられるということも強く感じました。思いがけずポスター発表で賞をいただくことまででき、大変うれしい経験となりました。

また、発表を聴講する中で、他の参加者の英語表現や議論の進め方を学ぶことができました。それらを実際に用いてオーラルセッションで質問を行った際、発表者に意図が正確に伝わり、議論を深めることができたことは、大きな自信につながりました。

カンファレンス全体を通して特に印象的だったことの一つに、臨床寄りで、解析中心の、いわゆるdryな研究の割合が非常に高かったことがあげられます。政府が公開している大規模臨床データの解析や、AIを用いた診断・治療技術の向上を目指す研究などが多く、実際の細胞や実験動物を扱うwetな研究は比較的少ない印象でした。韓国の学生から、名古屋大学の基礎医学セミナーのように、全学生が必須で基礎研究に関わる制度はなく、研究志向の学生が自主的に教員へ働きかけ、教員の空き時間をみつけて指導を受けるというスタイルが一般的であることを伺いました。このような背景から、時間や手間を要するwetな研究よりも、コンピューターベースの研究が多くなっているのではないかと考察しました。学生が研究に参加しやすい多様なプログラムが整備され、また学生に対して積極的に指導してくださる教員が多い自大学の環境は、国際的に見ても非常に稀有なものであることを、今回の経験を通して改めて実感し、ありがたく感じました。

本カンファレンスへの参加を通して、国際的な研究交流の現場を実体験するとともに、同じ志向を持つ同世代の医学生とのネットワークを広げることができました。学術面・人的交流の両面において多くの刺激と学びを得ることができ、非常に楽しく、参加してよかったと心から思える経験でした。今回築いたつながりや得られた知見を大切にしながら、今後の研究活動に一層励んでいきたいと考えています。

最後になりますが、日ごろから多大なるご支援をいただいている糖尿病・内分泌内科学の皆様、細胞生物学の皆様、学生研究会の皆様、そして国際連携室の皆様に、この場を借りて心より感謝申し上げます。また、今回の学会発表に際して、中京長寿医療研究推進財団様にご支援を賜りましたことに、深く御礼申し上げます。