2026年3月に開催された第53回日本集中治療医学会学術集会に参加し、学生優秀演題セッションにおいて「ECMO離脱後の新規発熱の実態と予後との関連:多施設後ろ向き観察研究」というタイトルで口頭発表を行った。
本研究は、昨年の同学会で報告した名大病院単施設でのパイロット研究を基盤とし、対象を全国約20施設に拡張して進めている多施設研究 ECMO-NEXT Study の一部である。各施設でのデータ登録開始から約1年が経過し、発表時点までに約1500例が登録された。私はこの1年間、データクリーニングおよびクエリ対応の主担当者として、多施設の担当の先生方と連絡を取りながらデータの収集と整備を進めてきた。
発表では、ECMO離脱後発熱の頻度や背景を記述的に示し、予後との関連について解析した結果を報告した。昨年の単施設研究と比較すると、より大規模な集団を対象としたことで、解析手法や層別化の選択肢が広がり、より多面的な検討を行うことができた。症例数が限られやすいICU領域において、このような比較的大規模なデータを扱えるのは非常に恵まれた経験であったと感じる。さらに発表準備にあたっては、名古屋大学の先生方に加え、他施設の先生方からもスライド作成や予演会を通じて多くのご助言をいただいた。私自身は今年1月に臨床実習を開始したばかりで、現時点では臨床経験が限られている。しかし、実際の臨床に携わる先生方から臨床医としての直感や思考過程を踏まえたフィードバックをいただけたことで、結果の解釈がより臨床に即したものとなり、研究の意義をより明確に捉えることができた。また医学生としての立場からも、診療の実態や病態の理解を深めるきわめて貴重な機会となった。
参加した学生セッションでは、多様な演題が発表されていた。特に岐阜大学の医学生による発表が過半数を占め、その存在感が印象に残っている。学生自身の気づきや生活背景に根差した独創的なテーマ設定に加え、そのテーマを自分のものとし、研究を楽しんでいることが聴き手にも伝わるような強い主体性を感じた。発表を聴いて、自大学での研究への取り組み方について考えさせられると同時に、全国で研究に力を注ぐ医学生の存在が励みにもなった。
今回、初期から継続して関わってきた研究について学会発表する機会をいただけたことは、研究の進展を実感する一つの節目となった。今後は、本研究の論文化に向けて取り組むとともに、各研究施設でのデータ活用が一層進むよう、使いやすいデータセットの整備にも努めていきたい。
最後に、本研究テーマをご提案くださり、継続的にご指導いただいている名古屋大学の春日井先生、ならびに日頃よりデータ登録やクエリ対応にご協力いただいている各施設のECMO-NEXT Study 研究者の先生方に、この場をお借りして心より感謝申し上げます。また、学会参加にあたり旅費のご支援をいただいた名古屋大学学生研究会に深く御礼申し上げます。