お知らせ

5年味村柊哉さんの学会発表報告

AACR Annual Meeting 2026に参加して

名古屋大学医学部医学科5年
腫瘍生物学所属
味村 柊哉

この度、2026年4月17日から24日にかけてアメリカ合衆国サンディエゴで開催されたAmerican Association for Cancer Research(AACR) Annual Meeting 2026に参加し、ポスター発表を行いましたのでご報告いたします。

AACRは、がん研究分野における世界最大級の国際学会であり、世界中の研究者や製薬企業が一堂に会して最新の研究成果を発表・議論する場です。学生という立場でこのような国際的な舞台に立つ機会をいただけたことは大変光栄であり、大きな期待と緊張に身を震わせながら会場へと向かいました。

会場では、特定分野について基礎から最新の研究動向までを体系的に学ぶことのできるEducational Sessionや、特に注目度の高い研究成果が発表されるPlenary Session、そして私も発表を行ったPoster Sessionなど、多様なプログラムが連日開催されていました。

なかでも印象的であったのはEducational Sessionで紹介された新規創薬モダリティです。これは、がんドライバータンパク質と別のタンパク質との間に新たな相互作用を誘導することで抗腫瘍効果を発揮するというもので、従来の阻害剤とは異なる発想に基づくユニークな治療戦略でした。現在ポリクリで様々な抗がん剤に触れる中、DNA複製阻害剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤など、多様な治療法の存在を学んでいます。また、私自身が基礎医学セミナーで取り組んだ研究も、がん細胞で高発現するlncRNAと結合タンパク質の相互作用をテーマとしていました。そのため、タンパク質間相互作用を新たに創出することで治療効果を得るという発想に強く惹かれ、基礎研究の持つ創造性と可能性を改めて実感しました。

また私は「TUG1 Interacts with RNA Helicases to Promote R-loop Resolution」という演題でポスター発表を行いました。発表当日の朝は緊張のあまりタコスも喉を通らないほどでしたが、実際に発表が始まると非常に楽しく、10人ほどの研究者の方々と活発な議論を交わすことができました。特に、中国から参加され同じRNAヘリケースを研究されている研究者の方から「この発表を楽しみにしていた」と声をかけていただいたことを大変嬉しく覚えています。

また、AACRで特に印象的であったのが企業展示ブースです。ファイザーやアストラゼネカをはじめとする世界的な製薬企業に加え、武田薬品工業など日本企業も多数出展しており、研究者との活発な交流が行われていました。かくいう私は無料で配布されているボールペンの収集に追われており、活発な交流とはいきませんでしたが、アカデミアと産業界の結びつきの強さを実感することができました。

さらに、学術面だけでなく文化的な面でも貴重な経験を得ることができました。サンディエゴはメキシコとの国境付近に位置しており、タコス文化が非常に盛んです。現地で味わったケサビリアは、チーズをふんだんに使用したビリアタコスをコンソメスープに浸して食べるというあまりに太っちょな料理で、食べた瞬間脳天をジャンキーが直撃し、天にも昇る心地がしました。滞在中その他ステーキやハンバーガー、BBQなど致死量のアメリカを摂取し、帰る頃には全身に口内炎ができ歩くことすらままならないほどでした。皆さんもサンディエゴに行く際はご注意を。

最後に、基礎医学セミナーの期間から長きにわたりご指導くださった近藤先生、鈴木先生、Jingqiさんをはじめとする腫瘍生物学研究室の皆様、ならびに学会参加に際してご支援・ご協力をいただいた安倍様をはじめとする学生研究会の皆様に、この場をお借りして心より感謝申し上げます。