このたび私は、2026年3月10日から12日までの3日間、東京医科大学新宿キャンパスで開催された第103回日本生理学会大会に参加し、これまで取り組んできた研究成果をポスター形式で発表させていただきました。日本生理学会大会は、生命現象を多様な階層から理解しようとする1,600名を超える研究者が一堂に会する学術集会であり、神経科学を含む幅広い分野の最新の知見に触れる貴重な機会となりました。
今回、私はLate-Breaking Abstractとして演題を提出し、発表に臨みました。賞の審査対象外であり、学会終盤での発表であったにもかかわらず、予想以上に多くの方々に足を運んでいただき、大変ありがたく感じました。これまでに国内外の学会で発表を重ねてきた経験が活き、専門的な質問に対しても自分なりに考えを整理して対応することができた一方、自分の理解をさらに深めるべき点も明らかになり、研究者との対話は、研究成果を発信する機会であると同時に、自らの解釈や仮説を批判的に見直し、研究をさらに深化させる契機となることを改めて認識しました。
発表に向けては、ポスターの構成や図の見せ方、研究全体のストーリーについて発表寸前まで精査と修正を重ねました。その結果、発表を聴いてくださった方々から、研究の流れが一貫していて分かりやすい、ストーリーが綺麗との今までにない評価をいただき、大きな励みとなりました。また、今回は同じ研究室から発表される先生や学生がおらず、孤軍奮闘のような状態で不安もありましたが、自分の研究を自分の言葉で説明し、責任をもって質問に答える経験を通じて、研究に主体的に向き合う姿勢を改めて学びました。
さらに、学会会場では指導教員から、良い研究計画とそうでない研究計画の違いについて、仮説の立て方や実験系の組み方、次に検証すべき事項などをポスターの実例に即してご指導いただきました。個々の実験結果を積み重ねるだけでなく、それらを結びつけ、一貫したストーリーとして研究を構築すること、一つの事象をいくつもの実験から多面的に支持することの重要性を改めて学ぶことができました。
アルツハイマー病の病態解明に取り組み、論文をまとめる過程で、自分の実験結果だけでなく、その背景にある知識や先行研究とのつながり、研究全体のストーリーが少しずつ見えてきたと感じています。今回の学会は、自分の研究もまた、その大きな流れの一部であることを実感し、医学を学ぶ者が研究することの意義を改めて考える機会となりました。
また、他大学で研究に取り組む学生との交流を通じて、教授から直接研究上の助言を受けられる環境は、決して当たり前ではないことにも気づかされました。私はこれまで、和氣先生から直接ご指導いただくことを日常の一部として受け止めていましたが、世界的に活躍され、多くの責務を担われている先生に一介の学部生である私の研究にも時間を割いていただけることは、大変恵まれたことであると実感しました。一方で、自分なりに研究に取り組んできたつもりであっても、研究背景に関する知識や関連論文の読み込みはまだ全く十分とはいえず、自身の未熟さも痛感いたしました。恵まれた環境をただ享受するのではなく、先行研究を幅広く学び、自ら問いを立てる力を養っていきたいと考えております。
今回の学会参加で得られた自信と課題の双方を糧として、今後は研究の背景にある知見と問いをより深く理解し、得られた結果を医学的視点から発信できるよう、引き続き研鑽を積んでまいります。
また、普段は離れて暮らしている兄と食事をともにする機会にも恵まれ、学会参加の合間のささやかな思い出となりました。
最後になりましたが、日頃よりご指導・ご助言を賜っております分子細胞学講座の先生方をはじめ、実験や研究活動を支えてくださっている皆様に、心より御礼申し上げます。