2019年7月3−5日の間、エクセター(Exeter, イギリス)のエクセター大学にて48th Annual Scientific Meeting of the Society for Academic Primary Careが開催されました。私は当学会において、3年後期より半年間行ってきた研究成果をポスター発表しましたので、ここで報告させて頂きます。
まず、私が行った研究テーマは「認知症主介護者におけるコーピング形態の変化に関する質的研究」です。研究というと統計を用いた(数に焦点を当てた)ものを思い浮かべがちですが、こういった研究は一般に量的研究と呼ばれるものです。私が今回行ったものは質的研究と呼ばれるものであり、実際に介護を行っている方にインタビューを行い、そこから一般的な概念に言い換えていくという流れで進めていきました。研究内容の概要は、認知症は介護の原因として最多であるという内閣府の報告に基づき、認知症の方の主な介護者(実子や嫁など)がどのようにして自身のストレスに対処しているのかを考察するというものでした。質問用紙などを用いた研究からは中々見えてこない、生の言葉を聞くことができたという点で、非常に印象深い研究となりました。勿論、国際学会ですのでポスターは全て英訳しておりますし、参加者で日本人は私たちの講座の関係者のみでした。
次にthe Society for Academic Primary Careについてです。the Society for Academic Primary Careは毎年開かれる学術集会であり、その名前にもあるように、プライマリケアに関する学会です。ちなみに「プライマリ・ケアとは、患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである」(米国科学アカデミー, 医学部門)と定義されています。バックグラウンドが全く違う(例えば、介護保険は日本特有のものであり、当然要介護、要支援などという単語は通じません)方に日本での研究成果を報告するということは大変なものでしたが、その分終わった後の達成感も格別でした。この報告書を見て下さっている方もぜひ機会があれば国際学会に参加されてみてはいかがでしょうか。
学会の後にはイギリスの観光をしたり、名物を食べたりしました。写真は報告書の終わりにまとめて掲載しております。
最後に、今回の学会発表をするにあたって半年間に渡ってご指導して下さった地域医療教育学講座の末松三奈先生、岡崎研太郎先生、高橋徳幸先生、また旅費のご支援を頂いた学生研究会(基礎医学研究者育成プロジェクト)に厚く御礼申し上げます。