お知らせ

4年今来茜さんの学会発表報告

学会参加報告書(日本プライマリケア連合学会、the Society for Academic Primary Care, SAPC)

名古屋大学医学部医学科4年
地域医療教育学講座
今来 茜

 私は2019年5月17日〜5月19日に国立京都国際会館にて開催されました第10回プライマリ・ケア連合学会学術大会の学生セッションにおいてポスター発表を、2019年7月3日〜7月5日にイギリスのExeter大学にて開催されました48th Annual Scientific Meeting of the Society for Academic Primary Careにおいて同じくポスター発表してきましたのでここで報告させていただきます。

 まず、私が発表した研究とは3年後期の半年間で行った「総合診療科専攻医における共感の認識構造:質的探索的研究」というものです。「共感」をどうやって研究するのかと思われるかもしれませんが、統計を用いた一般的な「量的研究」とは異なり、私が今回行ったものは「質的研究」と呼ばれるものです。総合診療科の専攻医の方々に、例えば「言葉で患者さんに共感を示すことはあるか」や「共感が患者さんとの信頼関係を築く上でどのような役割を担っていると思うか」などといった共感に関するインタビューを行い、そこから「共感」の定義に基づき一般的な概念を抽出して理論を記述していきました。どのような要因が専攻医の医師の共感に影響しているのかや共感に関して専攻医が抱える苦悩などを明らかにしました。数字では計ることの難しい(「量的」に計るのが難しい)「共感」を言葉で掘り下げていき、概念を抽出するという質的研究は私には目新しく感じられ、とても楽しいものでした。

 次に2つの学会についてです。国内の学会と国外の学会に参加して感じた1番大きな違いはやはり言語でした。イギリスの学会では抄録やポスターはもちろん英語で記述し、発表も英語で行います。全て日本語で行った研究を英語に書き換えたり、専門用語を用いて英語で質問をされ、英語で返したりするというのは日本語と同じようにはいきません。私が喋ってる英語が果たして私の伝えたいニュアンス通りに伝わっているのかなどと終始不安でしたが発表を終えた達成感は格別でした。また日本の学会は皆がスーツを着て、ピシッと決まったすごく整然とした印象を受けましたが、イギリスの学会のポスター発表では皆がコーヒーや紅茶を飲みながら質問をするというすごくラフな感じで、その違いも大きく感じられました。学生のうちにこうした違いを感じられたのはすごく貴重な経験でした。

 最後に今回の学会発表をするにあたりご指導いただいた高橋先生をはじめとする地域医療教育学講座の先生方、旅費のご支援をいただいた学生研究会(基礎医学研究者育成プロジェクト)に厚く御礼を申し上げます。

Exeter大学にて
ロンドン市内にて
発表ポスター(海外) 
Exeter大学学会会場
エクセター大聖堂
発表ポスター(国内)