FAOPSとはFederation of the Asian and Oceanian Physiological Societyの略で4年に一度アジア・オセアニアの国々で持ち回りで開催される生理学分野の国際学会です。国際学会ということでアジア・オセアニアの国々からの発表者だけではなく、アメリカ・ヨーロッパの国々からの発表者も招待されとても国際色豊かで、にぎやかな雰囲気でした。ノーベル賞受賞者が二人も講演を行うなど、とても充実した内容でした。
一日目はプレナリーレクチャーに参加しました。ノーベル賞受賞者のリンダバック先生の臭覚に関する講演でした。ウェルカムレセプションでは弦楽四重奏の演奏をバックに立食パーティーでした。
二日目の僕にとってのメインのイベントはポスター発表でした。僕のポスターはカルシウムチャネルの発達段階に応じた発現変化を見たもので、卵が孵化するまではカルシウムチャネルの発現が増え、孵化を境に発現が減少していくこと、またその現象が活動依存的に変化しているのではないかという内容です。発表を聞きに来てくださる人の中には、当然、分野外の研究をされている方もみえ、どこまでを基本知識として説明してよいのかに迷う場合もあり、分かりやすく説明するために言葉を選ぶのは自分の研究内容を振り返るにはとてもよかったです。そのほかに、よく考えてみると基本的であるにもかかわらず自分がよく考えてなかったことに気付かされるような、重要な疑問を再確認させられるなど、とてもよい経験になりました。指導していただいている山田先生の知り合いの方がポスター発表に来て様々な質問をしていただけたのも、今後の研究を進めるうえで有意義だったと思います。その先生も僕と同じ手法を用いて研究をされていることもあり記録する事の難しさを共感してもらえつつも、データの解釈について厳しい指摘もあり、データをよく見ることの大切さを学びました。そのほか抗体でカルシウムチャネルを染色することやブロッカーを用いてカルシウムチャネルを分離することなどのアイディアもいただけ、可能であれば試してみたいと思いました。
三日目はまず朝一番で大隅先生の講演を聞きました。大隅先生から直接オートファジーについてのお話を聞けるとても貴重な機会だったと思います。その後、午前はシンポジウムを聞いて、午後はポスターの後半があったので見て回りました。ポスターではそれぞれが自身の研究内容について熱いディスカッションをかわしていました。シンポジウムでの口頭発表の質疑応答は、質問をする方もされる方も真剣そのもので、よい質問がどういうものなのかが分かったような気がしました。口頭発表はすべて英語でした。ネイティブの人からそうでない人までいていろいろな国の人の英語が聞けて面白かったです。
最後になりますが、学生研究会の皆様や細胞生理学の皆様には大変お世話になりました。皆様のおかげでとても意義深い充実した4日間を過ごせたことに心より感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。