お知らせ

4年王然さんの学会参加報告

Anesthesiology 2021 参加報告書

名古屋大学医学部医学科4年
麻酔・蘇生医学講座
王 然

1. 概要
私は、10/9-13 に米国サンディエゴで開催された
アメリカ麻酔学会(American Society of Anesthesiologists) のAnnual meetingであるAnesthesiology 2021(通称 ASA)にオンラインで参加 し、”Establishment of Novel Postoperative Delirium (POD) Mouse Model(新規術後せん妄マウスモデル 構築)”というタイトルで、昨年の基礎医学セミナーで 取り組んだ研究内容について口頭発表しました。

2. 発表・情報収集
ASAは毎年 10 月に約 5 日間の日程で開催され、麻酔科学に関連する講義、十数分野に分かれての基礎及び臨床研究発表、症例報告が行われている、麻酔科領域で世界最大規模・参加 人数の学会です。残念ながら、コロナウイルス感染拡大の影響により全て現地開催とはならず、昨年と同様に一部のセッションはオンライン形式で執り行わ れました。口頭発表は、発表者が事前に送付した発表動 画を発表当日に座長が再生し、その後 Zoom 画面上で 質疑応答が行われました。私の発表は、現地時間 10 月 11 日(月)1:15 pm-2:15 pm(日本時間 10 月 12 日(火) 5:15 am-6:15 am)の Experimental Neuroscience のセッションで、私の演題を含め 5 題の発表がありました。

私の発表は、吸入麻酔薬曝露下で開腹手術した若齢マウスが、術後 4 時間後にせん妄様の行動変化を示し、その行動変化がノルエピネフリンの神経伝達変化により引き起こされていることを発見し、この処置マウスが新規 POD モデルになりうることが示唆された、 というものです。動画再生後には、座長の Dr. Xie (Massachusetts General Hospital, USA)と Dr. Raz (Rambam Medical Center, Israel)から、「老齢マウスでの検討の有無について」、「手術後の切開痕の痛みの処置方法について」「マウスにストレスをかけない処置方法について」などの質問を頂き、 概ね的確に回答することができました。また、今後の研究展開のヒントとなるような建設的なご意見も頂戴することができました。 その他、学会期間中には、興味のあるテーマの発表をいくつか拝聴しました。特に、”Perioperative Brain Health 2021”(Dr. Culley, Brigham and Women's Hospital, USA) では、術 後せん妄(POD)および術後脳高次機能障害(POCD)研究に関するこれまでの報告から最新の知見までがまとめられており、自身の研究分野の情報を再整理することができました。

3. 感想
今回が私自身にとって初めての国際学会発表でした。わずか一時間でばかりのセッションでしたが、緊張していながらも無事に発表を終えることができ、安堵しました。座長のDr. Xie など、 我々と同じ研究分野の方々とディスカッションすることができたこと、また他の様々な研究に間近で触れたことで、自分のこれからの研究に対する意欲が増しました。今回の学会発表で感じていたことを将来に生かしたいと思いました。

4. 謝辞
最後に、今回の学会発表でご指導、ご協力頂いた麻酔科西脇公俊教授、同科寄附講座森厚詞先生、学生研究会の方々に深く感謝いたします。また、今回の学会発表にあたり、学会参加費 用を含む必要経費の全てを中京長寿医療研究推進財団様にご支援いただきましたことを深く感謝しいたします。ありがとうございました。