お知らせ

4年竹井いずもさんの学会参加報告

第99回日本生理学会大会に参加して

名古屋大学医学部医学科4年
分子細胞学所属
竹井 いずも

1.概要
2022年3月16日から18日まで、宮城県仙台市の東北大学川内北キャンパスにて、第99回日本生理学会大会が開催された。今大会はCOVID-19の流行状況を鑑みて、対面と遠隔を組み合わせたハイブリッド形式で行われた。私は、学生セッションのポスター発表に参加し、筆頭発表者として英語での発表を行った。


2.発表について
 ハイブリッド形式のポスター発表では、事前に5分以内の発表動画を投稿する。当日は、その動画が流され、zoom上での質疑応答が行われた。発表形式に制限はなかったため、私は研究内容をパワーポイントにまとめ、簡潔に説明を行った動画を大会の10日ほど前に投稿した。本来であれば、大会二日目である3月17日にオンライン上で質疑応答を受ける時間が設けられるはずであったが、前日の3月16日深夜に東北地方で地震が発生したために、ポスター発表は中止となり、後日発表動画がオンデマンド配信されることとなった。
 ここで、今回発表を行った研究内容を簡単に紹介する。研究のテーマは「The Role of Astrocyte in Cross-modal Plasticity」であり、ひとつの感覚が失われた際に他の感覚機能が向上するシステムである異種感覚間の可塑性に対し、回路編成に関与するとされるアストロサイトがどのように関わっているのかということに注目している。そのために、視覚喪失モデルマウスを作り、視覚喪失急性期のアストロサイトの形態的変化と慢性期の生理的変化を観察した。若年期に視覚を喪失したマウスでは、急性期から慢性期にかけて有意な変化は見られなかった。一方で、成体期に視覚を喪失したマウスでは、急性期に視覚野でアストロサイトの数が増加し、慢性期では触覚刺激を行うことで視覚野アストロサイトの活動が抑制された。これらのことから、異種感覚間の可塑性の背景には、視覚が失われた時期によって異なるメカニズムが存在することが示唆された。

3.感想
 今回は、COVID-19の影響により対面での発表ができなかった上に、地震によりオンライン上での質疑応答も行えず、とても残念であった。またの機会に、今回の分もしっかり発表できるとよいので、引き続き研究を行っていきたい。

4.謝辞
 この度の学会発表にあたり、ご支援をいただきました中京長寿医療研究推進財団様に深く感謝を申し上げます。ありがとうございました。

オンデマンド配信される発表動画の冒頭