1. 目的と目標
(1) Clerkship in Pharmacology in the University of Bologna (7/11-7/22)
医薬品安全性監視についての基礎を理解し、薬の副作用を医薬品安全性監視機構にいつ、どのように報告するべきかを学ぶ。またmedication reviewの重要性とそれがどのように行われるべきかについて学ぶ。
(2) CCD(clinical case disscution) in LMU (7/22-7/24)
CCDの大まかな流れと、司会進行の行い方を学ぶ。また効果的なプレゼンの仕方について理解する。さらにプレゼン後のフィードバックの方法を知る。
(3) GAME 4th TEI Summer School 2022 (6/27,7/25-7/29)
医療現場においてはいまだ多職種連携の重要性についての認識が浸透してはいないが、これは医療ミスを防ぎ、職場環境を改善する上で必須である。そのため今回の6日間では多職種連携の効果と、参加した大学各国での現状を学び、どのようにして職種間での連携をすすめ、さらに国際的な連携につなげていけるかを検討する。
2. 内容
(1) 薬物疫学や薬の適切な使用方法、また安全性について学んだ。さらに自分の興味のある薬剤と、それに関連して報告された有害事象について、FDA有害事象報告システムのデータを基に統計ソフト「R」を使用しながら関連を調べることで、医薬品安全性監視を実践的に学んだ。またmedication reviewとは何かを理解し、実践の仕方も学んだ。そして最終日には2週間で研究した内容や、medication reviewの概要についてプレゼンを行った。
(2) CCDの効果やどのように行われるべきかを実際にCCDに参加することで学んだ。また伝わりやすく、聴者が参加できる形のプレゼンの組み立て方や、そこで使われる手法について、実際にプレゼンを組み立て、行うことで学んだ。さらに行ったプレゼンについてフィードバックをお互いにすることにより、適切なフィードバックの方法を理解した。
(3) 6月のzoomでのプレプログラムでは職種間における衝突や、各職種の現状やそれぞれの感情といった、それを引き起こす要因について検討し、改善策を話し合った。7月末の対面でのサマースクールでは多職種連携を行う上では何が重要かを学び、障害となる各職種に対するバイアスやステレオタイプについて意見を出し合った。またその後国際的連携・多職種連携を進めていくうえでどのようなカリキュラムが必要となるかを大学内外の各学部の生徒同士でグループを変えながら討論し、その都度プレゼン・質疑応答をして視野を広めた。
また、各大学の教育システムや、特色ある研究・取り組み内容、そしてそれらに多職種間連携がどうかかわっているかについても学んだ。
3. 結果と効果
(1) 医療安全監視の重要性と、それに使われる各国・各地域の有害事象報告システムの利用方法と特徴について学んだ。またmedication reviewと、その重要なターゲットであるポリファーマシーについて理解を深め、さらに薬をいつ使用し、いつやめるべきかの指標となる複数種類のクライテリアについても学ぶことができた。
(2) CCDや複数の参加型の講義、ワークショップを通して、患者情報からどのように診断、治療を進めていけばいいかについて学ぶことができた。またCCDにおいて、いかに効果的に司会進行を進めていけばいいかについても学んだ。
プレゼンの技法については実際にプレゼンを行うことで各手法の特徴や使い分けを学ぶことができた。
(3) 多職種連携を進めることで、どのようなミス・衝突が防げるのかについて具体的に理解を深めることができた。また各国の特色や現状に合わせ、どのような教育プログラムが効果的であるかを検討、大学間で意見交換することで、今後につながる具体的カリキュラムの草案を作ることができた。さらに6か国の生徒と複数回議論を重ねることで、各国の医療・教育制度についてや、文化の違いについて理解することができた。
4. 今後の展望
今回学んだことを生かし、医療現場での多職種連携について学べるような課外活動を提案していきたい。また将来医師になった時には職場でスムーズな連携が作れるように病院・診療所の改革に改善していきたい。
最後とはなりますが、今回の海外での課外活動におきまして、中京長寿医療研究推進財団様にご支援賜りましたこと、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。