インタビュー

人材交流を盛んにして
新しい可能性を生み出そう。

名古屋大学大学院
医学系研究科
生体反応病理学 特別研究学生
永井 裕崇 PROFILE ※2012年3月当時

きれいにストーリーを
組み立てるという面白さ。

僕は、医学系の研究をしたい→それなら京都大学だ、という考えでいたため、京都大学医学部に進み、学部4年の時にMD.Ph.Dコース※を選択しました。学部生の頃は研究に触れる機会が少なかったため1年生の頃から自ら豊國伸哉教授の研究室を訪問していました。そして2008年8月、教授が名古屋大学へ移られるのを機に、僕もここでお世話になることにしました。
研究には際限が無いので、勉強しなければならないこと、やらなければならないことは沢山あります。でも、知識を詰め込むだけでなく、自分で考え、テーマに想いを馳せる時間をたっぷり持てるということは、幸せなことだと思っています。ボーっとする時間って、意外と大切なんです。仮説から結論までのストーリーは、僕の場合、落ち着いている時間にきれいに描くことができます。医学部では多くの知識を系統立てて覚える必要がありますが、研究に取り組んでいると、過去の知見にとらわれない新しいコンセプトに挑戦していくことになります。そこが医学部の授業と研究とで少し方向性の異なるところですね。 ※ 京都大学医学部 MD.Ph.Dコース

"勝手気ままにやる"だけでは、
いい研究はできない。

名古屋大学に来てみて、研究室がすべて同じ建物に入っていて、「みんなで研究しよう」という仲間意識のようなものがあることが特長であると思いました。研究するにも臨床の知識は絶対に必要ですから、いろんな情報共有が必要です。また、先ほどの「ストーリーを描く」場面において、それを見るいろいろな人のことを考えていないと独りよがりな発想になってしまい、きっといい評価は得られないと思います。ディティールに入りすぎないというスタンスが大切なのかもしれません。大阪のおばちゃんでも分かるような、明快さというんでしょうか(笑)。いろんな人や社会に想いを馳せることは、決して無駄な研究プロセスではないと思っています。

人も研究も、
コラボレーションの時代に向かっている。

僕の専門は、癌研究です。アスベストやナノマテリアルがいかに癌を引き起こすかを研究対象にしています。人と環境に安全なナノマテリアルはどうやったら作れるのか、という問いに答えようとしているんですよ。研究を進めるうえで大切にしているのは、「コラボレーション」です。僕の場合だと、人・環境というだけでも医学、理学、工学、農学など様々な分野が絡み合っています。医学の視点だけでは、有意義な結論はきっと導き出せないでしょう。そうした考えから、名古屋大学でも他学部との交流を行うなどして、フィールドを超えた研究ができるようにしたいと思っています。
フィールドを超えるという発想を持っていると、自分のキャリアパスを考える上でも役に立ちます。癌、神経、老化…研究分野をどれにしよう、と、いろいろ悩むと思いますが、その時間がもったいないです。どこかの研究室に所属していれば、分野横断的に研究をすることが出来ます。癌と神経だって関わりがあるし、神経と老化だってそうです。学部生のみなさんは、そうやって柔軟に考えて研究室の門をたたいてください。

新しいコミュニティに入って、
研究意欲を高めよう。

名古屋大学医学部学生研究会は、学生同士の交流を深めるのに意義のある団体だと思います。僕自身、医学ではない分野の学会などを通じて分野の異なる研究者の方と知り合い、その縁で海外でセミナーをしたり、コラボレーションをしたりする機会を得ました。自分の分野の学会に参加すると共通の興味を持つ研究者の方と知り合いになれますが、分野の異なる方と話をすると視野が広がることがあります。大学は様々な領域の教室が一堂に会する組織ですので、研究室・分野の垣根を越えてコミュニケーションをとるのが良いと思っています。 (※)プロフィールは、2012年学生研究会発足当時。